第三章 絡みつく悪夢

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 対シリア・イスラム国の統括者であるアメリカ軍司令官の高級副官であるアンダーソン中佐と懇意にしている人物、何者かと伺う者が多い。 「何を仰いますか、うちのボスがお待ちです。どうぞこちらへ!」  案内します、こちらですと手をひきそうな勢いに苦笑しつつ島は艦上を歩んだ。  歩くたびにガチャガチャと鳴る大メダルが煩わしかった。こんなことなら略式の物にしてきたら良かったと思うが、サルミエ少佐は敢えてこちらを用意した。  艦長室とは別、より大きな部屋が司令官室として宛てられている。 「中東でもピエロは健在です。イーリヤ中将、罷りこしました」  眼前の人物に敬礼する。  ――こうやって対面して話すのはどのくらいぶりだったろうか。  いかつい顔で盛り上がった筋肉、司令官などよりも野戦部隊を率いていたほうが遥かに似合っている印象は変わっていない。 「見ないうちに何と立派になったことか!」  敬礼を返すと直ぐに歩み寄り互いを抱き合う。 「ベイルート入りに際してご迷惑をお掛け致しました」  かなり世話になっているのだろうと考え早速頭を下げる。
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