第三章 絡みつく悪夢

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 佐官ならば上申でどうにかなったろうが、将官となると議会が何というか解らない。 「これからイスラム国の主力が居るシリア北東部へ進もうと考えております」  敢えて振られた話題を無視して先を進める、ジョンソン中将も気を悪くなどしない。 「クルド人自治区は行動が困難だぞ」 「承知しております、いえ、解っているつもりです。なので一つお願いがあってここへ」 「何でも言うんだ、俺は支援を惜しまん」  その言葉は真実だ、常に島に友好的に接してきてくれていた。今だって独断で外国の将官を軍艦に招き入れてしまっている。 「アルビールの高官を紹介いただけないでしょうか」  クルディスタン自治政府の主要人物、今回の紛争で大きな鍵を握っている勢力の一つだ。  国を違えるとテロ指定集団でもあり、イラク、シリア、トルコの一部でもあり、独立国家とも言えた。  外交権限は持っていない、それなのでアメリカが外交ルートを使ってとは簡単に出来ない。 「一気に本丸に切り込むつもりか」  それが吉と出るか凶と出るかは誰にもわからない。
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