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第十一章 地中海からの使者
◇
時は少しだけ遡る、サルカの街に数十の親衛隊と共に島はやって来ていた。ラッカ北にあるこの街、クルド人の前線基地と見て取れた。
この先からラッカまでの農村地帯は競合地域、距離九十キロのうちクルド人が優勢なのは二十キロ圏内まで。
市街地中心には大型のスーパーマーケットがあるが、他は個人の商店がぽつぽつあるだけで、二階建てが殆どの小型の造りばかり。
特産品のひまわりで作られた製品が多く並べられている。
「閣下、こちらでお待ちください」
中程度の部屋、窓にはカーテンがしてあり外からは様子が伺えない。窓際には親衛隊員が二人警戒し立っている。
島は椅子に腰かけると腕組をして目を閉じた。
どのくらい待っただろうか、精神を集中していたので早かったような気もする。
三本線の記章を肩につけた中年の男が、部下を引き連れて室内へとやって来た。
島はゆっくりと椅子を立ってその男の目を覗き込むと敬礼する。
「民兵団指導者アイランド将軍です」
「YPGアイン=アル=アラブ方面司令官オスマンだ」
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