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第十五章 クァトロの暗躍
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太陽の光が入ってこない地下の一室、昼なのか夜なのかすら感じられない。籠った空気が乾燥しているはずの地域なのに湿り気を帯びていた。
白熱灯の灯りのみの小さな部屋に、複数の髭もじゃの男達が集まっている。皆が皆、同じようなたっぷりの髭を綺麗に整えてぶら下げていた。
ゆったりとした布の服は、イスラム教徒のアラブ人が好んでまとうもので、特に聖職者らが正装とするものだ。細かい色や模様は違うが、これまた似たような服装。
「アレッポに続いてまた大きな戦闘が起こった。事態は加速していると言えるだろう」
皺皺の顔の老人が右手を動かしながら、主張をした。この中では恐らく最年長、だが隣を気にしながら発言している。
厳めしい面構えの男ばかり、上手く物事が運んでいないのが雰囲気でありありと解った。
「ダイルアッザウルでの大規模戦闘、政府軍が逃げ出したそうではないか」
別の男が最近のビッグニュースに触れる。シリアを駆け巡った大事件、政府軍がガッチリと支配していた都市が陥落した。問題はそれがイスラム国の攻勢によるものではないことだ。
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