半分じゃ足りないもの

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帰宅して私は母に泣きながら言った。 「お母さん! 半分なんていいことない!! 半分じゃ名前も覚えてもらえないよ!!」 母はそんな私に向き合うと、 「好きな人ができたのね」 と言った。 「そうねえ。半分じゃ足りないことがあったわね。お母さん、それを言い忘れてた」 「それは何?」 「答えは教えないわよ? あなたが自分で探しなさい。全力であたらないと後悔すること」 全力であたらないと後悔すること……。 思い当たるものは今は一つしかなかった。 この恋、だ。
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