6/7
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
ロンが目を丸くする中、ジュリアはそのまま説明する。 「彼女なんだから、頷いてくれるだろうって考えが安直。私はね、普通の女じゃないの。欲しいものはどんな方法を使っても手に入れる、海賊だから。ロンもそうでしょう?本当に欲しいのなら、それ相応の態度があるでしょう?」 彼女は悪い顔で微笑んだ。 「口説いてみなさいよ。その気になったら、結婚してあげる」 上から目線の強気な挑発。だがロンは、ジュリアらしいとも思った。確かに、犯罪者の俺が何をしてやれる?何ができる?俺は何を持ってる? 少し考えたロンは、彼女の手を取り自分の心臓の上に乗せた。 「俺の命、お前にやる」 その言葉に、ジュリアは目を見開いた。ロンは真っ直ぐ彼女を見つめる。 「裏切られたと思ったら、遠慮なく斬っていい。飽き飽きしたら、捨てていい。この心臓は今からジュリアにやる」 ロンは彼女に微笑んだ。 「でも、それまでは俺のそばに居て。ジュリア」 ジュリアの唇が震え、その目に涙が浮かんだ。 「そういう返しは予想してなかった」 「俺は、これしか思いつかなかったけどな」 「命をくれるの?ロンの命を、私が預かるの?」 「あぁ。いつでもジュリアにくれてやる」 するとジュリアは微笑んだ。 「……それ、最高の殺し文句ね」 ジュリアは、ロンを思いきり抱きしめた。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!