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ロンが目を丸くする中、ジュリアはそのまま説明する。
「彼女なんだから、頷いてくれるだろうって考えが安直。私はね、普通の女じゃないの。欲しいものはどんな方法を使っても手に入れる、海賊だから。ロンもそうでしょう?本当に欲しいのなら、それ相応の態度があるでしょう?」
彼女は悪い顔で微笑んだ。
「口説いてみなさいよ。その気になったら、結婚してあげる」
上から目線の強気な挑発。だがロンは、ジュリアらしいとも思った。確かに、犯罪者の俺が何をしてやれる?何ができる?俺は何を持ってる?
少し考えたロンは、彼女の手を取り自分の心臓の上に乗せた。
「俺の命、お前にやる」
その言葉に、ジュリアは目を見開いた。ロンは真っ直ぐ彼女を見つめる。
「裏切られたと思ったら、遠慮なく斬っていい。飽き飽きしたら、捨てていい。この心臓は今からジュリアにやる」
ロンは彼女に微笑んだ。
「でも、それまでは俺のそばに居て。ジュリア」
ジュリアの唇が震え、その目に涙が浮かんだ。
「そういう返しは予想してなかった」
「俺は、これしか思いつかなかったけどな」
「命をくれるの?ロンの命を、私が預かるの?」
「あぁ。いつでもジュリアにくれてやる」
するとジュリアは微笑んだ。
「……それ、最高の殺し文句ね」
ジュリアは、ロンを思いきり抱きしめた。
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