7/7
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
***** 結婚式は女の子の一大イベント。でも、私の結婚式は、全然素敵なものじゃなかった。 ドレスはないから、私服。 ベールだけあるが、スキンヘッドのオネエさんが作った即席。 ブーケも花がないから、本を破って折った、折り紙の花束。 教会ではなく、船首。 神父ではなく、青い髪の堅物な男。 いろんなことが偽物な中で本物なのは、エスコートをしてくれる、新郎の父。 月明かりが照らす中、参列者たちが騒がしいバージンロードを歩く。 待っていたのは、うねった黒髪のように性根も可愛くない男。 神父役の彼が問う。 「汝、ロン・ウィリアムは、この女性、ジュリア・アーサーを妻とし、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」 「誓います」 彼は今度は私に訊ねた。 「汝、ジュリア・アーサーは、この男性、ロン・ウィリアムを夫とし、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」 「誓います」 彼は本を閉じて、こちらに微笑んだ。 「では、誓いのキスを」 ロンが私のベールを上げ、キスをする。皆が歓声を上げた。互いに見つめ合うと、ロンは私を抱え上げた。 「ジュリア、愛してる」 幸せそうな顔をしたロンに、私はキスをした。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!