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「ジュリア!踏み込み甘い!」
「はい!」
ダズ島を出港して、10日あまり。船の上では、ジャンによる稽古が行われていた。
最初はジュリアがレイやキールに稽古をつけてもらっていたのが、いつの間にか、ジャンも稽古をつけてくれるようになると、他のクルーも参加する、大所帯となっていた。
「おー。精が出るなー」
デッキの上から、ロンがのんびりと声をかける。何故かスルメを噛んでいる。ジュリアは彼をたしなめた。
「キャプテン、レイさんに怒られますよ」
「いいの。これは俺も一緒に作ったおやつだから」
「それって結局、船のみんなのためにレイさんが作ったものってことですよね?」
「俺も船の人だから」
「また屁理屈……」
彼女はため息をついた。ジャンも声をかける。
「ロン。お前も、稽古参加するか?」
「いや、いい」
ロンが断ると、乗組員たちから不満の声が上がる。
「えー。何でですか、キャプテーン」
「たまには参加してくださいよー」
「だって、誰も俺の相手にならねーもん」
その瞬間、皆の顔が引きつった。一斉に声を荒らげる。
「おうおうおう!言ってくれるじゃねーか!」
「船長だからって容赦しねーぞ!」
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