出来栄え

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 奴がその足に踏んでいるのは、ピンク色の可愛いキャンドルではないか。  「おまー―――!!」    カシューナッツは、ぼくを二分割させる魔術を行うため、四畳半の小さなこの部屋に、愛用のイスまで持ち込み、備え付けの畳に直接、複雑な魔法円を黒炭で描き込んだ。  その周囲を彩るのは、ピンク、黄色、水色、黄緑、キレイなパステルカラーのキャンドルたちだ。そのおかげで、この魔法円はお子様の6才のお誕生日ケーキみたいに可愛らしーく仕上がっていた。  「てめーーー、なんてことをしてくれたっ!!」  畳が、焦げる、よりも深刻なのは、魔術師本人が魔法円をぶっ壊してくれちゃったことだ。ホントイカレタヤローだぜ。  ぼくは心底呆れるをとっくに通り越して、もう一周目に突入し、激烈に怒り狂った。  「このくそ豆野郎!!どうしてくれんだ、ちゃんと成功すんだろな?」  「あー、やっちまったわ・・・」  そう言ってマジでへこむの止めてくれ。これ、どう考えても失敗パターンじゃ。  「で、どうなるんだよ、現実的には」  「まー、問題ない問題ない。もうほぼ出来てるし」  へ?  そう言われて自分で自分を見下ろした。当たり前に素っ裸で、自分でも何やってんだ、とげんなりしたところで、本当に身体が出来上がっていることに気付いた。いつも通りだ。  ただ、その足元、床に着いた右足の方から、もう一本、にょきっと棒のようなものが生えている。目でそれを辿ると、そこには・・・。  年は10代後半、痩せ形で身長は166センチの、特に特徴の無い顔。そして、髪は茶髪に染めて・・・、ない?  「は?なにこれ?」  確か、魔術で生み出した自分の分身は自分と寸分違わぬ姿で生まれてくるはずではなかったか?どうしてそれが、こんな髪色なのだ?    「はあーやれやれ、さっさと分離しますかね」    そう言って、カシューナッツは包丁を振り下ろした。             
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