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「ちょっと、ちょっと、君、どこまで思い出遡ってんの?」
「うるせー、人の心読んでんじゃねーよ」
横やりが入ったが、自分は過去への探訪を再開することにした。
そう、はるかが引き寄せられて行ったのは、マジック研究会、通称「マ研」に所属する3年生、小太りでスケベそうな大学生タナカさんである。同クラブにはタナカさんが他にも二人所属しているため、彼をタナカAと呼ぶこととなった。
「いや、呼んでるの君だけだし」
極彩色の羽飾りがステキなサンバ・カーニバルの装いをしているタナカA氏の隣で、腕組みをして自分をじっと睨んでいる男が居た。
「そう、このちょー絶スーパーイケメンの俺がね」
超絶スーパーイケメンかどうかは置いといて、タナカA氏を超える常軌を逸したその変装(?)によって、自分たち以外の新一年生たちはことごとく彼らを遠巻きにしていた。
いつの間にかタナカAと談笑し始めたはるかを引っ張って、その場を離れようとした自分の腕を突如何者かが掴んだ。
それを間近で見て、自分はかなり引いた。
その男は、金色のウィッグをツインテールにし、先を絞った袖口や鮮やかなピンクのフリルで装飾された女児向けアニメのコスチュームを着ている。ふわふわした短いスカートの裾から、男のゴツイ生足がにょきっと出ているだけで、絵面的には十分変態的だ。
「ああ、あの時のはるかちゃんの冷え切った目・・・」
悦に入った顔でカシューナッツ先輩は過去を懐かしんだ。
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