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話が合うというか、妙に気の合う人だった。バンド仲間の加治川くんと曲を作るようになって、スタジオレンタルの時間じゃどうにも足りなくて、お互いの部屋に入り浸るようになって、しまいには一緒に住んでるとは。
こっちは純粋に音楽やるためであって、決してルックスもセンスも冴えてる加治川くんとどうにか、なんて思ってないから。コイツのコアなファンに恨まれるの、正直カンベン。
私のルックスとセンスは…この鏡が正直に説明してくれるとして、それより何より身体の不具合に負い目があるんだ、全部をさらけ出すのには相応の抵抗がある。天真爛漫なフリして音楽やっておきながら、どうせ私は、と失敗の言い訳をいつも用意している。
左目が弱視なのは生まれつき。両目が見える人の感覚とは比べようがないけれど、他人より遠近感に乏しいに違いない。球技は焦点合わなくて苦手だったし、3D映像観たってちっとも立体に飛び出してこない。
だから視覚に縛られない音楽に傾倒したのかな、と意味づけしてみる今日この頃だけど、バンド始めたきっかけに目は関係なかった。無意識だ。てか勢い?
まあ、片目弱視っていっても運転免許取れるくらいだから、日常生活には困ってない。片目半分の景色のせいで人生に躓いて失敗したことの方がよっぽど深刻だ。でも何かコンプレックスがあるくらいがロックやるにはちょうどいい。
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