会いたい、また明日も

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ひんやりと冷たい、と思ったその感触は、すぐにじわっと熱を伝えながら濡れて、頬の擦り傷にキスをされているのだと分かった。 「・・・・・や・・・っ」 擦り傷にしみて、思わず突き飛ばそうとした両手の手首を強く握られ、顔の両横まで持ち上げられた。 するっと狩衣の袖がまくれて、細っこい腕が肘まで露わになる。 すっと顔を離した少年が、怯える伊織の顔をじっと見つめながら、握った手首にも唇を押しつけた。 (え、なに・・・・? どうして・・・) 伊織の見開いた目を、アイスグレーの鋭い瞳が瞬きすらせずに、まるで挑発するように見つめてくる。 身体の芯が疼くほどの熱い視線だった。 そして、その怖ろしいまでに強い眼差しで獲物を動けなくした金色の獣が、味見をはじめた。 ちゅく、と音を立てて、伊織の手首を吸う。 味を確かめるように、ざらりとした舌が伊織の手首から肘までをしっとりと舐めあげた。 「・・・・っ、あ・・・・」 背筋がぞくぞくする、ほんの一分かそこらの時間。 伊織はただ見ているしかなかった。 身体が強張って怖かったが、それよりも大きくて優美な獣がとても美しくて、それが自分のそばにあることがとにかく不思議だった。 「あああの、・・・・おいしい、んでしょうか」 思い切って訊いてみたら、濡れた感触がふっと離れて、またぐいと腕を引かれた。     
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