伝説のはじまり

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本場場入場では、あえて急がせず、レジェンドがどうしたいのかを感じながらゆっくりと走らせた。 その時、少しだけ手綱を揺らして感触を探ったその時!手に痺れを感じる程のキレを感じた。 (なにっ!〉 とても勝ち星のない8連敗中の馬とは思えないキレのある強さを感じた。 もはや14番人気など関係ない。俺も勝てないジョッキーとして苦渋を舐めてきたが、レジェンドも不甲斐なさを感じてきたんだろう。いや、こんなジャジャ馬を誰もうまく走らせてあげられなかったのかもしれない。 そして、ファンファーレが場内に流れ、運命のゲートがついに開く。 『ガチャン』 スタートダッシュはスムーズだ。急ぎ過ぎないし、さりとて気合いが乗っていないわけでもない。 (レジェンドは後ろからのタイプだな) すぐに俺はそう思った。 レースは大方の予想通り1番人気のロイヤルスターダムと神谷のコンビが大逃げを打った。しかし俺は焦らない。 レジェンドは時折、力みがちに行こうとするが、俺は必死に手綱をコントロールしながら体力と末脚の温存だけに集中した。 距離は1800メートル。 最初の1000メートルが58秒と未勝利戦にしては早いペースだ。先頭を走るロイヤルスターダムは、既に2番手に6場身差とブッチ切っている。 俺は手綱を少しずつ緩め、ロイヤルを捕まえにかかった。その反応は抜群で、4コーナー手前では4馬身差まで詰め寄った。 しかし、ロイヤルも負けてはいない、どうやら二の足を使うようだ。 騎乗する神谷のムチが一発、二発と入る。さすが1番人気になるだけあって、再度加速し出した。 また、差が開く。残りは3ハロン。 ついに俺はステッキを持ち替え、レジェンドにゴーサインを出した。 (見せてくれ!真のチカラを!)
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