第一章

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第一章

第1章 今日は僕の誕生日で明日は特別な日だった。 つまりは今日で僕は16回目の誕生日を数え、『永久迷宮』に入る資格を得る。明日そこで狩りを行う収穫者〈ハーヴェスト〉として出発するつもりだ。 この地は大昔から見渡す限り雪と大地に覆われていて、生命が生きていくには厳しすぎる環境だった。しかしこの白銀のみの世界に、忽然と現れる翠峰。それこそが死の中で唯一生命の湧き出る泉と言われる 「 翠塔山大薬師神宮」通称『永久迷宮』だった。 数百年前、翠塔山の麓に建立された大薬師神宮は、神秘の力と深い知識で霊薬を調合する"薬師"と呼ばれる神官たちがいて、各地にある薬師神社の総本山となっていた。  その周りにある薬師の里は、大薬師神宮の門前町として開かれ、数千に及ぶ人々が暮らしていた。 東の大通りに面した一角、そこに僕の働く〈豊穣の恵〉亭はある。
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