あなたを振り向かせたい

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 だけど、質問には答えられない。だって、あなたに振り向いてもらいたくて、なんて。  ・・・・・・怖くて言えないよ。  アルのことが好きになるほど、怖くなる。 「・・・・・・好きな方でも出来たんですか」  心臓が大きく跳ねた。  見上げると、アルが真剣な表情で私を見ている。  ・・・・・・これは、チャンスなのだろうか。  前世でもろくに恋愛経験がない私には難易度が高すぎるけど。  女は度胸。  よし、言うぞ・・・・・・! 「あの、実は」 「・・・・・・応援しますよ」 「・・・・・・え?」  アルは優しく微笑むと一歩後ろに下がった。  思わず手を上げて引き止めかけたけど、アルは私の手を避けるように身体を引く。 「お嬢様はお優しい方ですからね。どなたがお相手でもきっとうまくいきますよ。いかなかったら、単に相手に見る目がなかっただけです。もっとご自分に自信を持って下さい」 「アル、あの」 「聞きましたよ。食事も無理にとろうとしたらしいですね。そんな事をしないと振り向かない相手なんて、お嬢様には相応しくないのでは?」 「えっ・・・・・・」 「お嬢様には、お嬢様の良さがありますから。わかってくれる方を探したら如何でしょ・・・・・・お嬢様?」  アルが驚いた顔で息を呑む。  私は、泣いていた。  胸が詰まって苦しくて、涙が止まらない。 「・・・・・・お嬢様」  私は両手で顔を隠すと、狼狽えた声で私を呼ぶアルに背を向けて、その場から逃げるように部屋に戻ったのだった。
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