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「初めまして、お嬢様。今日から警備兵としてこちらに勤めることになったアルフレッドです。アルとお呼び下さい」
低く艶のある極上の美声を耳にしながら、私は呆然と目の前に立つ青年に見とれていた。
さらさらの髪は淡い金髪で、切れ長の瞳は濃い暗緑色。
人形のように整った顔は怖いほどに美しく、冴えた月を思わせる静謐さを漂わせていた。
しかも、長身で引き締まった体格。日に焼けない体質なのか、肌は白い。
・・・・・・恐ろしいほどの美形だった。
それはつまり、この世界では恐ろしいほどの醜男ということであり。
「・・・・・・すみません。このような醜い顔をお見せしてしまって」
少しだけ淋しそうにフルフェイスの兜を被ろうとするアルフレッドの姿に、ようやく私は息を吹き返した。
あっぶなー! 危うく地上で窒息するとこだったよ!!
「い、いえ。顔を隠さなくても大丈夫ですわ。すみません、失礼な態度を取ってしまって・・・・・・」
「いえ。私の顔では仕方ありません。むしろ、気絶なさらないだけ有難いですよ」
と、微笑むアルフレッド・・・・・・アル。
そのどこか悪戯っ子めいた微笑に、私の心臓は撃ち抜かれた。
・・・・・・はい、そうです。
どうやら私も、所詮は外見で惚れるような、安い女だったらしいです。
く、悔しい! でも格好いい!!
その日から私の片想いは始まった。幸いだったのは、アルが中身も素敵な人だったことだ。
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