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「両親の口癖なんですよ。見た目は年を取れば変わる。でも研磨された魂は輝く、ってね。だからかな。私は自分の顔にはあまり劣等感を持っていないんですよ。なんて言ったら、いつも呆れられるんですけどね」
「素敵なご両親ですね」
「ありがとうございます」
爽やかに微笑むアルは、確かに自分の容姿にコンプレックスを抱いていないようだ。
というより、美醜をあまり気にしていないのかな。
私に対しても、仕えている家の令嬢という気遣いはあるけど、結構気さくだし。
・・・・・・超がつく掘り出し物だわー。
「そ、その。アルには恋人はいますの?」
どきどきとしながら尋ねると、アルは苦笑しながら首を振った。
「それが、全然ですよ。寂しい独り身です」
「まあ、そうですの!」
きっと今、私の目は狩りをする肉食獣のように輝いている!
よっしゃー! 頑張るぞー!!
・・・・・・そんな私の想いは両親や使用人達にはバレバレだったらしく、何故か凄まじく応援された。
「アリシア・・・・・・父は、お前が幸せになれるなら、全力で応援しようと思う」
「そうね、彼ならお似合い・・・・・・じゃなくて、きっとあなたを大事にしてくれるでしょうし。母も賛成ですよ」
「もちろん、わたくし共も応援いたしますぞ!」
「頑張ってください、お嬢様!」
執事や使用人達まで頑張れコールだ。
なんなのだ、いったい。
「・・・・・・今回を逃したら、本当に生涯独り身を貫きそうで不安だからな」
ぽかん、としていたら父がぼそりと呟いた。
ああ、なるほど・・・・・・納得。まあ、反対されなくて良かった。
そう、この時は軽く考えていた。
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