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その翌日、山岸は学校を休んだ。
無断欠席なんてアイツらしくない。
一体どうしたんだろう?
花梨のことで落ち込んでるんだろうか?
授業を終えて家に帰ると、深刻な顔をした母さんが俺を出迎えた。
「おかえり慧(さとし)、待ってたのよ……とにかく早く上がって!」
母さんはそう言うなり、俺の手を強引に引っ張った。
「ちょっと、いてぇよ」
リビングには、女性が一人いた。
こちらに背を向けて座っている。
微かに、その肩は震えていた。
「朱美さん、慧戻ってきたわよ」
母さんの声に、女性は振り返った。
その人は山岸の母親だった。
ずいぶん泣いたようで、目元が赤く腫れていた。
山岸の母親は、俺を見るなり駆け寄ってくると、すがるように俺の肩を掴んだ。
「慧くん、昇(のぼる)が、昇が帰ってこないの……!何か知らない?」
「え……?」
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