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「くっそ!あとちょっとだったのに!」 頭をガリガリとかきむしった。 すると隣から笑い声がした。 ゴーグルを外すと、 「残念だったね」 山岸がこちらを見て可笑しそうに笑っていた。 その顔を見て少しムッとした俺は、山岸を睨み付けると、ステージから降りてコントローラーのグローブを外し、山岸の前に腰を下ろした。 「で、なんだよ、見てほしいものって」 「うん、これ見て」 山岸は革表紙の分厚い本を開くと、目の前のテーブルに置いた。 その見開きのページには、大きな写真が載っていた。 深い藍色の夜空に無数の星が散りばめられている。そして、その中央には、右から左に向かって、6本の光の線が夜空を横切っていた。 2017年1月4日 しぶんぎ座流星群、と書いてある。 「な、綺麗だろ?やっぱり、本物の夜空は綺麗だよな」 写真に視線を落とした山岸はそう言うと、その写真の光の筋を、愛しそうに撫でた。 「そうか?」 俺にゲームを中断させてまで、見せたかったものがこれ? 俺はそこまで魅力を感じなかった。 山岸はひどく悲しそうな表情を浮かべた。 「反応薄いな、鹿島は。僕はこれ見てものすごく感動したのに」
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