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「だってさぁ」
俺は、窓の外に視線を向けた。
ゲームに夢中になっているうちに、いつの間にか空は橙色に染まり始めていた。
あと数時間もすれば、その本と写真と同じような夜空が一面に写し出されるだろう。
俺は、窓の外を指差して言った。
「たいして、あれと変わらないと思うけど」
「全然違うよ!あんなの偽物だろ。毎日、毎日、何も変化しない使い回しの映像を映しているだけじゃん!」
山岸はむきになってそう言った。
そう。
俺らは"本物の空"を見たことがない。
今、窓の外に見える夕暮れは"疑似天球システム"によってシェルターの天井に映し出された映像に過ぎないのだ。
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