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どうやら、2099年に起こった第3次世界大戦を境に、この世界はガラリと変わってしまったらしい。 2099年、アメリカとロシアによって、朝鮮半島とイラクに核兵器が落とされた。 その2つの核爆発により、放射性物質を含んだ黒い塵に世界は覆われた。 それによって世界は寒冷化し、 放射能による白血病や甲状腺がんなどの患者で溢れ、食料不足による飢饉で、たった5年の間に、20億人もの人々が命を落としたという。 さらに人類の悲劇は続いた。 それまで地球を覆っていたオゾン層が大気の化学変化により消え失せ、有害な紫外線が地球に直接降り注いだ。 科学技術の進んでいた先進国は、大気から降り注ぐ紫外線や放射性物質から国民を守るため、各々独自のシェルターを開発した。 日本は"eシールド"と呼ばれる東京都全域を覆う超巨大なシェルターを50年もの歳月をかけて完成させた。 生き残ったわずかな日本人は、故郷を捨てて、そのeシールドの元で生活を余儀なくされた。 これは、俺らが生まれる300年前の話だ。 しかし、第3次世界大戦から300年たった今も大気中には放射性物質が漂っており、未だにオゾン層は再生されていない。 外に出れば、たちまち呼吸困難に陥り、被爆し、降り注ぐ紫外線によって大火傷を負ってしまう。 俺らは、このeシールドの下でしか生きていけないのだ。
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