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それは、まだ四歳だった頃。
両親に連れられて初めて訪れた日本は、ちょうど桜の綺麗な季節だった
という。
「その時の写真もあるのですが、正直、場所は、よく分からないんです。
でも、とにかく桜があまりにも綺麗で。しかも穴場だったのか
ほとんど人のいないその場所でピクニックをして
はしゃいだ記憶があります」
しかし、彼の実の両親との日本の思い出は、それ一つ。
「それでも彼らとの思い出がある分、僕の方が、まだラッキーなのかな」
だが僕は、別に自分の生い立ちを彼よりも不幸だとは思わなかった。
「そんな事ないですよ。
僕は、生まれた時から両親がいなかったので、
そういうものか、って感じで生きてきましたから」
「でも、子供なりの社会が出来てくると、
どうして自分には両親がないのかって思いませんでしたか?」
しかしこれに、僕は思わず苦笑した。
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