第7章 ブラザーフット(つづき)

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「それなら僕も正直に話すと、実は、今の両親の事を一時期 『タカフミ』『キヨノ』と名前で呼んでいた頃があったんですよ」 しかし、これを聞いても、僕は大きく驚きはしなかった。 僕たちのような境遇の子供の場合、心の中は、周囲が考える以上に 複雑なものだ。 ましてや、自分でも困惑するほど己の感情に翻弄されやすい 思春期を迎えると、これらの子供たちは人並み外れて傷つき易く、 感情の振れ幅が大きすぎて、落としどころすら見付けられなくなり易い。 そしてそれを、ジョージさんも経験したということなのだろう。 今の両親に引き取られた頃は、とても大事に愛してもらえる居場所を得て、 徐々にジョージさんの中でも、家族という感覚が芽生えていったのだという。 「最初の頃はね、『無理に父、母と呼ばなくていい。 おじさん、おばさんと呼べばいい』って言われて。 その通りに、日本語でおじさん、おばさんと呼んでいたんです」
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