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しかし、思春期を迎える頃。
生さぬ仲という現実が、反抗的なものを彼の中に生じさせたらしい。
「あの頃って、身近な存在っていうものがすごく面倒で、
ひどく批判的に見えてしまう年頃でしょ?
だから僕も、自分がいつしか彼らを父、母と呼んでいた事に
すごく違和感を覚えたんですね」
そして、それから数年。
アメリカの大学に行くために彼らの元を離れるまで
ずっと名前で呼び続けていたのだという。
「今から考えるとね、ちゃっかり、しかも十分に養ってもらっていながら
何やってんだって、あまりの愚かさに笑えてきますけど。
でも僕は、彼らと物理的に距離を持つまで、どれだけ自分が慈しんで
大事に育ててもらってきたのかに気付けなかった」
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