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しかし、誰一人知り合いもいない異国の地で、
人間関係はもちろん、住む場所も生活も、何もかもを自分一人で
創りださなくてはならない。
そんな状況が、彼の目を覚まさせた。
「だから、大学二年のクリスマス。
初めて一時帰国した時に、彼らを父、母と呼んだ時の彼らの顔は
未だに忘れられないです」
二人揃ってもの凄く驚いて、また二人揃ってフワリと笑った。
「それからね、涙を零しながら笑い続ける母が僕に言ったんです。
『じゃあ、ジョーくん。ご馳走作るの手伝って。
まだ全部、出来てないのよ』って。
でも結局、僕のあまりの不器用さに、途中でキッチンから
追い出されましたけど」
なんだか、とても清乃さんらしいエピソードに、
思わず二人で声をあげて笑ってしまった。
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