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「ジョージさんが得てきた幸せは、全部、貴方が得るべきだったものですよ」
えっ……。
ジョージさんの灰色の瞳が、小さく見開かれた。
「だって、お父さんと清乃さんが一生懸命、愛して育てたのは貴方です。
僕ではない。
そしてその頃に、僕が彼らと出会わなかったのは、それが僕の定めだった
からでしょう。
でも僕も、今までの自分の人生を不幸だったとは思ってません。
それなりに良い人たちに囲まれ、
楽ではなくても、それなりに恵まれていたと思っています」
「冠汰さん……」
ジョージさんの顔が、小さく複雑に歪んだ。
そんな彼を前に、僕の胸に前回の旅行の終わりに
空港で、ジョージさんが掛けてくれた言葉がほんのりと蘇ってくる。
たぶん僕たちは、分かり合える良い関係になれると思う。
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