第7章 ブラザーフット(つづき)

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「えっ? あの……」 つまり、これが清乃さんのもう一つの策略。 それにしても清乃さんは、ジョージさんには、ナッちゃんが理想的な女性だと 思っているということだろうか。 なんか、ちょっと複雑な不安が胸に浮かぶ。 そして、案の定、 「母はね、もうお二人の結婚式前の食事会の時から すっかり夏海さんが好きになってしまって。 でも今回、僕も、ゆっくりお二人と時間を過ごせて その気持ちが分かりましたよ。 実際、夏海さんは、本当に聡明で優しくて、 何より、すごくチャーミングな女性だ」 そして、次にジョージさんが口にした言葉に、僕の複雑な胸中は 更にザワついた。 「いやぁ、もし冠汰さんよりも先に彼女に出会えていたら、 僕は、確実に彼女を口説き落としてましたよ」 しかし、カラカラと笑う彼を前に 僕は、情けなくも変な風に顔を歪めるしかできなかった。
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