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こうして出発ロビーへと向かう彼らを笑顔で見送り、
ふと振り返ると、いつの間に戻ってきたのか、
少し離れた場所に立っていた運転手の寺崎さんが静かに近寄ってくる。
「よろしければ、お車を準備いたしますが」
僕たちは、その言葉に素直に頷き返した。
すると、
「それと、先日は、奥さまに過分なお気遣いを頂まして」
ありがとうございました、と丁寧に頭を下げられる。
ところがその途端、隣の彼女が小さく慌てだした。
「過分だなんて、とんでもない。実はあれ、私の勤め先の商品なんです」
そして、「そうでしたか」とニッコリ微笑む寺崎さんに
彼女は、ちょっとお茶目な笑顔を向ける。
「ですので、お気に召しましたら、どうぞこれからもご贔屓に」
そんな彼女に、寺崎さんも更に笑顔になって「はい」と頷くと
車を取りに、その場を離れていく。
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