第7章 ブラザーフット(つづき)

26/33
前へ
/38ページ
次へ
「ナッちゃん、今の何の話?」 車を待つ間、エントランスへと出て行きながら 僕は、さっきの二人の会話を聞いてみた。 「軽井沢にね、現地集合でってお義父さまたちのご希望だったでしょ?  それで、たぶん運転手さんが送ってくるんだろうなって当たりを付けて ほんの気持ちに、フォルトゥーナのチョコレートを用意してたの」 それを聞いて、父たちを迎えたすぐ後に急いで保養所の玄関を出て行った 彼女の姿が思い出される。 そして同時に、昨日のジョージさんの言葉が耳に蘇った。 本当に聡明で優しくて、何より、すごくチャーミングな女性だ。 しかし、僕が何かを口にする前に 目の前に、あの大きなヨーロッパ車が滑り込んできた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加