第7章 ブラザーフット(つづき)

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そして間もなく、 「冠くん、お疲れ様。楽しかった?」 ようやくいつものように話しかけられ、知らぬ間に力んでいたらしい肩から ホッと力が抜けていく。 うん。 僕は、素直に頷いた。 「ナッちゃんは?」 「私も。色んな話もできて、すごく楽しかった。でも、ちょっと疲れたね」 フフッ。 小さく苦笑する彼女の手を、僕はそっと握った。 「ナッちゃん、色々ありがとう」 「うぅん。冠くんだって、色々してくれたじゃない」 そう言って、優しく僕の手を握り返してくれる。 だから僕は、隣に座る愛しい彼女をちょっと見詰めた。 「ねぇ、ナッちゃん」 「ん?」 微笑みながら僕を見返す彼女を目に、 さっきのジョージさんのいきなりのハグが思い出される。
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