第7章 ブラザーフット(つづき)

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「ねぇ、ナッちゃん」 「ん?」 「もし僕よりも先にジョージさんに出会ってたら、彼に恋してた?」 だがこれは、あまりにも唐突だったからだろう。 「えぇ……?」と小さく口篭った彼女は、眉根に困惑を浮かべる。 そして、 「それは、分からないな」 僕は、彼女の答えに思わず愕然とした。 「ナッちゃん……」 しかし、そんな僕の手を優しく握った彼女が微笑んでくる。 「だって、実際にそうなってみないと分からないでしょ?  でも、私が先に出会ったのはジョージさんじゃなくて冠くんで、 恋をしたのも冠くん。 そして、こうやって結婚したのも冠くん。 だから、少なくとも私の運命の人は、冠くんだってことは確かじゃないかな」 「ナッちゃん……」
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