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すごく、すごく彼女を抱きしめたくなった。
ものすごく嬉しくて、安心して、今すぐ彼女の温もりを感じたくなった。
だから、
「ナッちゃん、ギュッてしたい」
ダメ元で、ちょっと言ってみる。
だが、やっぱりこれは渋られた。
「ええぇ、だって寺崎さんに見えちゃうよ」
「うぅ……」
分かってる。
分かっているけど、すごく彼女を今すぐ抱きしめたい。
しかしさすがに、何かと鷹揚に僕を甘えさせてくれる彼女も
今は許してくれなかった。
「ねぇ、冠くん。帰ったら、いっぱいしよう?」
もう、これ以上は甘えられなかった。
僕は、ひとつ呼吸をして頷いた。
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