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「ナッちゃん」
しかし、再び、ゆっくり彼の顔が近づいて来て、
私は、いつもの様に「ん?」と聞き返す代わりに続きを遮った。
「冠くん。もう直、ご飯も炊けるから」
「……」
「そろそろ、皆さんも起きてくるかもしれないよ?」
しかし、それでもちょっと押し黙ったままの彼に、私は「だから」と続ける。
「その前に、お味噌汁作っちゃおう?」
いつもとは反対に彼をちょっと上目遣いに見上げて言う私に、
彼は、腕の中に私を包んだまま、尚もしばらく押し黙る。
だが、それでも、
「うん……」
ようやく、小さく頷き返してくれた。
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