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~ *** ~
「冠くん、ちょっとお散歩に出てくるね」
唐突にナッちゃんに切り出されたのは、
二人で作った朝食を楽しんでもらい、一息ついた後。
父をビジネス関係者の別荘へと送り出した、午前十時半過ぎのことだった。
「えっ? ナッちゃんひとりで?」
リビングに戻ってきた途端、いきなり言われて僕は、にわかに戸惑った。
しかし、彼女の言葉も態度も、明らかに僕たちを誘っていない。
それに僕は、更に困惑する。
だが彼女は、柔らかく微笑みながらかぶりを振ってきた。
「会社の人にね、美味しいパン屋さんをおしえてもらってきたの。
だから、清乃さんとそこまで行こうって話になって。
あっ、お昼は、そこのパンでサンドイッチでいい?」
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