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うん――。
なんとなく頷いたものの、どうして彼女たちだけで行こうとするのか
少し不安になる。
しかしジョージさんは、こんな彼女たちの行動を予測していたらしい。
「やれやれ……」
夏海さん、準備OKよ。
ウキウキ顔で、部屋から帽子をかぶって下りてきた清乃さんを迎え、
彼は、小さく肩を竦めながら苦笑をした。
しかし僕は、彼女たちの意図がまだ読めず、ちょっとオロオロしたまま。
そして、そうしている間に、清乃さんに頷き返した彼女は
笑顔で手を振りながらリビングを出て行ってしまった。
あっ……。
僕は、半ば呆然と彼女たちが消えた扉を見詰めた。
そんな僕の背後から、ジョージさんの声が静かに言う。
「母はね、心根が暖かい人なだけに気遣いも細やかなんです。
けど、どうにも策略が、あまりにも下手すぎる。
ビジネスには、まったく向いてませんね」
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