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僕たちは、淹れたてのコーヒーを前に
リビングで、斜向かいに腰を落ち着けた。
「へぇ。冠汰さんって、コーヒー淹れるのも上手なんですね」
やはり、一流のビジネスマンだからだろうか。
彼からは、随所にさり気ない褒め言葉を投げられる。
「ありがとうございます」
だが僕はといえば、素直にお礼は返しつつも、それに対する社交辞令も
上手く返せない。
そして、相変わらず清乃さんの策略の意図も読めてなかった。
ところが、そんな僕にジョージさんは、
カップをそっと口元から離しながら静かに尋ねてきた。
「冠汰さんは、何月生まれですか?」
「四月ですけど……」
しかし、会話のきっかけにしては唐突で、
いささか戸惑う僕に、彼は小さくコーヒーをすすって言う。
「じゃあ、僕は六月生まれだから、冠汰さんのほうがお兄さんですね」
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