第7章 ブラザーフット(つづき)

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はあ……。 だが、やっぱり曖昧な相槌を打った僕は、再び彼に、やや唐突に尋ねられる。 「冠汰さんは、お祖父さまたちの所で育ったんですよね?」 「えっ? あ、はい」 そして、戸惑いつつも頷く僕に、彼は更に続けた。 「施設には?」 「祖父母が亡くなった後、一年くらい居ました」 そうですか。 そしてポツンと返してきた彼が、今度は短く口を閉ざす。 ほんの短い沈黙が、僕たちの間に横たわった。 しかし、似たような境遇で育ったせいだろうか。 こんな重い話題にも関わらず、僕たちの間の空気にぎこちなさはない。 だから僕も、すんなりと尋ね返していた。 「確かジョージさんは、お父さんたちと出会われた時は 施設にいらしたんですよね?」
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