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単純な講師に対する好意などではなく、この頃のクーデリカは何かにつけて、こういう悪戯をしたがる傾向にあった。 当日、クーデリカは、魔法を使って木製の壁の中に隠していたケーキを取り出し、クラスメイトに、旧文明で言うところのクラッカーのような、煙の出る小筒を配っていた。 ケーキを重ねた机の上にセットし、クーデリカは満足気に頷く。 「みんな、危ないから入口から離れて、一列になって。 そう、そんな感じ。 先生がかんかんに怒って入ってきたら、一斉にバン!」 講師が教室に入ってくる。 子供達が一斉に紐を引いた。 しかし爆発は『バン!』どころでは済まず、クーデリカ以外の全員が顔を青ざめさせる。 何を思ったかクーデリカは、小筒に本物の兵器用火薬と木くずを仕込んでいた。 植物学講師が高度な水魔法の使い手であった為、用意されていたジュースによって事無きを得たが、一つ間違えれば死傷者が出かねない大事件だ。 一人大笑いするクーデリカが、その後厳しい処罰を受けたのは言うまでもない。 他にも幼年期のクーデリカによる過激な悪戯は、枚挙に暇がない。 家を飛行船に改造して飛ばすという偉業も、彼女にとってはこの悪戯の延長線上にあるものなのだろう。 活動的で、攻撃的でもあるが社交的であったと言える。     
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