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あたし達、あなたが女の子だって気が付いてあげられなかったの」
「しっかり女の子にしてあげるからねぇ。
女の子に、とっても女の子にしてあげるから」
その後の記憶は暫く欠損している。
老人に拘束を解かれたところから再開。
老婆が手鏡をクーデリカに手渡す。
筋力が落ちて震える腕でそれを持ち上げ、クーデリカが鏡面を覗き込む。
髪はすっかりと伸び、漏斗により流しこまれた餌により、体は程よく女性的な丸みを帯びていた。
呆然としたクーデリカは、鏡を投げ捨てる。
「……学校。
学校に行かなきゃ」
クーデリカは鏡に映った自分の姿を受け入れることが出来なかった。
長い時間を奪われ、他人の手によって強制的に作り替えられた姿なのだから、当然のことである。
老婆が首をかしげる。
「学校?
何故そんな場所に行くの?」
「何故って……だって。
みんなに、会いたいし、普通は毎日学校に行かなきゃいけないし」
「クーデリカ。
あなたはここにいればいいの。
ずっとここで、一緒に暮らしましょう」
クーデリカの視界に、あの暗闇がよぎる。
ただただ真っ暗で、自分の存在しない時間。
激しく鳴る胸を押さえて、クーデリカは叫んだ。
「嫌だ!」
「……どうして?」
「うるさい糞婆!!」
クーデリカの視界に火花が散る。
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