私の半分、埋めて下さい。

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 私は、お礼を言いながらカフェオレをすする。一口飲んで、すかさず仕事を押し付けられたということを否定した。そもそも、自分の要領の悪さが招いた残業だ。人の半分しか出来ない私が悪いと、首を横に振りながら抗議する。自分の能力の低さを再確認させられるようで、だんだん悲しくなってくるが仕方がない。先輩は、納得していないような顔だったが、深く追求はしてこなかった。  その代わりと言ってはなんだが、あの恥ずかしい独り言を無かったことにはしてくれなかった。むしろ、ゆっくりでも仕事が丁寧だとか、私の作った資料は見やすいだとか、クレーム対応が上手いだとか、散々褒められた。褒められ慣れていない私は、顔を真っ赤にしながら、カフェオレを飲み干した。
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