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「ヨォ兄ちゃん。美人2人を侍らせてナニしようってんだ?俺らも混ぜてみぎゃぁっ!」
「師匠直伝『this is 最高に丁度いいシュート』」
某有名なサッカー選手と同じ名前の車メーカーがCMしていたキャッチフレーズとぴったりな画像を見て以来、いつかやってみたいと思っていた技。ガレさんを起こさぬように加速しながら、さながらサッカーボールを蹴り上げるように左足で、絡んできた阿呆の股間のサッカーボール二つもろとも蹴り上げ、取り巻き一味も巻き添えにして文字通り一石二鳥。いや、四鳥くらい。
師匠直伝?こんなゲスい技、あの師匠がやるとでも?…やるんだわ、これが。
「おー!やるねぇカズマ。さすが私達の御主人だね!」
「この周りの視線が一気に痛くなった気がする」
ギャラリーが増えてしまったらしいので、ミカサさんとアイコンタクトを取り、猛ダッシュで文字通り脱兎のごときスピードで街を抜ける。
その道中、蹴飛ばした連中を踏みつけてしまったが、サッカーや野球のルール上審判は石ころ扱いなのでセーフとしよう。
そう、セーフだ。いいね君たち?
気がつけばエルフの里の中に入っていたようだ。ミカサさんについていくように走ったからだろう。迷わずに着けた。僥倖僥倖。
「はー、はー。カズマ、あんた、ガレットを、背負って、走ってたのに、息切れ、しないの?」
「いやぁキツかったよ?鍛え方の問題じゃない?」
3000年も鍛えましたなんて口にジョロキアぶち込まれても言えないので、適当にごまかしておくことにした。
エルフの里は一見して、森だ。
太い木の中で暮らしているらしく、木々からは炎か光の魔法の明かりがチラついている。
その光は俺がいた地球のネオンサインのような痛々しいものではなく、言い方は悪いが豆電球のような柔らかな輝きを放っている。
「ほえぇ…いいところだなぁ」
「あら、エルフの里って寂れただけの場所なのに、いいとこなんていう人間初めてよ?
たまに来る奴らはだいたい「薄暗い」だのへったくれだのとボヤいてるからね」
生活が豊かになっていくにつれ、欲求が深まるのもわかるが、やはりこういう自然光に近い光は癒される。
「ここ、第3の故郷に認定」
「3?」
「あぁ、ゴメン。詳しくは後で話すよ」
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