3 ほんとにテンプレ?

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「とりあえず、適当に変装して行くべ。勇者が学生だとしたら色々めんどくさくなる。」 「ですね。」 「あっ!」 取りはからったかのような絶妙なタイミングでミカサさんが思い出したかのように素っ頓狂な声をあげる。 「あのね、だいぶ前に私達ダークエルフ一族で秘匿性能をあげるスーツの開発をしていたの。」 ノーマルなエルフと違い、近代化の進むダークエルフは恐らくこのような技術の輸出による社会的地位を得るのを目標としているのだろうか、まさか一族ぐるみで段ボール蛇ごっことは驚きだ。俺とガレさんは赤べこよろしく、かっくかくと首を縦に二回振る。 「その失敗作があってね」 突如声のトーンを落とし、鋭い眼差しをこちらに向け放つミカサさん。非常にたまらない、俺得な視線と横顔だがクマだかイヌだかわからないコミカルな動物がプリントされたパジャマ姿のせいか、著しく魅力が落ちる。 「そこは試作品とか、プロトタイプとか、もっとオブラートに包むとかなかったんですかねぇっ?!」 思わずツッコミをいれてしまった。 それに臆さず「ちっちっち、違うんだなこれが」とさながら言葉を覚えたてのインコのように話し続けるミカサさんのメンタルの図太さには頭がさがる思いだ。 「失敗作と言っても、本来の目的とは違う効果と作用が生まれたという意味よ。 大丈夫、魔法は果てしなくからっきしの私達ダークエルフだけども、魔法陣と鉱石による武具開発には自信あるの!ついてきて!」 朝は低血圧なくせに早起きな俺とは裏腹にハイテンションなミカサさんはパジャマ姿のままスタコラサッサと部屋を後にする。 「カズマさん」 「ん?」 ハイテンションなミカサさんを先頭に、早朝のエルフ集落を駆け足で移動する俺にガレさんが心配そうな…というか、心配した表情で話しかけてくる。 「学園…間に合いますかね」 あぁ、走ってて軽く忘れそうだったよ。
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