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「フッ」
金色の鎧。ヘルムの大きく紅く開かれた二つの目は2対128個以上の複眼になっている。見づらい。
左手首にはドラゴンのようなブレスレットが嵌め込まれ、ドラゴンは台座のようなものにただ挟まっているだけ。確かこの頭を引っ張れば色んな武器が出るんだっけ。
だが、あの複数体をぶっ倒したあの剣が欲しい!
そう願うと、コウモリがロングソードを咥えたような形状の剣が俺の目の前の床に突き刺さる。マジか。
形状はロングソードをコウモリが咥えているような形で、コウモリ自体はXのような形状に羽や爪が飛び出している。
そのコウモリには面がついていて、それを取り外すとホイッスルのような形状になっており、さっきのコウモリベルトにつけるとちょうど良さそうだ。
いや、使い方イマイチ覚えてねーし。
ひとまず俺の変身にビビっている教師陣を尻目に、ホイッスルのような物体をベルトのコウモリの下顎を開いてくっつけ、顎を閉じながら軽く下顎を叩く。
「イテッ、ウェイクアップ!」
「わり、力入っちまった。」
コウモリくんはどうやら意思を持っているようだ。悪いことをしたな、と軽く反省しながら剣を咥えたコウモリをスライドさせる。
すると剣は紅く鈍く、動脈からあふれ出した血液のように輝き始め、ブルブルと震えだす。厨二病ですねわかります。
「いくよ」
事前にこうして断っておいたので、後はどうなっても知らん。
目の前で斧のような武器を振りかぶるアフロヘアの土手っ腹…を避けて脇腹に一閃。
「一匹」
あのテノールボイスの狼の声が聞けないのは非常に残念ではあるが、仕方ない。
切り裂いたその惰性を活かしながら一回転し、すぐ後ろにいたちょっとマッチョな2mオーバーのオッさんの大腿部を切り裂く。
「二匹」
残りはハゲと教師2人。
どうやらこの剣の間合いを見切ったらしく、ゆっくり躙り足で後退し、レンジから外れていく。
だが、この武器にはあまりレンジは関係ない。剣を左手に素早く持ちかえつつ、視界約180度全体に巨大な赤の斬撃を発生させるように虚空を切り裂く。
予想通り斬撃は出たが、半透明だった。ちくせう。
この斬撃を肩や膝で受けた3人を一瞥しつつ、後ろを向き、剣を垂直に持ちながらコウモリで剣を研ぐように鍔から剣先にスライドさせ、剣先から鍔へゆっくりと戻す。
ドゴン。
鈍い爆発が五つ、周囲から聞こえた。
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