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「し、し、勝者は…カズマ・セイズです。
宣言通りの余裕ぶり!魔力の質や操作性、更には魔装までもを習得していることから、カズマ・セイズは特待生としての入学を許可します!いや、入学してください!」
「うぉっ、雁首そろえてお辞儀は流石に引く」
爆発したはずの教師やオッさん方については、派手な爆発はあったが傷自体は大したものではない。多分。
その証拠に、戦っていた5人が頭を下げている。多分大丈夫だろう。
昔見た漫画で、妖怪カマイタチの話を見たことがある。三位一体で行動し、転ばせ、切り裂き、傷口を塞ぐと。
結局は「あかぎれ」の発生理由がわからなかった時代のおとぎ話であることから、カマイタチは架空の存在であるのは自明だが、俺はさり気なくその流れを汲んでいる。
(変身音で)転ばせ、(剣で)切り裂き、(爆発する回復魔法で)傷口を塞ぐ、副音声が聞こえる人は何人いるのだろうか…。
ともあれ、この魔法学園に入学出来た。
まずは第一関門クリア、と言ったところだ。アザゼル師匠にどう話すかだが。
「カーズーマーさーん!」
「ん?」
聞き慣れた声が聞こえ、振り向くと闘技場出入り口のドアを開け、明らかに何かを企んでいるような視線を孕んだガレさんが手を振っている。イヤな予感しかしない。
「カズマさん、入学おめでとうございます。」
ててててっ、と聞こえそうな小刻みな歩幅でこちらに歩み寄り、俺の左手を持ち上げて、ぎゅっと握るガレさん。
「しかも、ヴァンパイアの能力ですよね、さっきの。いやぁ、私嬉しくて嬉しくて!」
「喜ぶか泣くかどっちかにしろ」
「じゃあ泣きます。うっわぁぁぁぁぁん!カズマさん大好き!」
その言葉と共に俺に抱きつくガレさん。
うっ、うぉぉぉぉぉ…ふ、二つの柔らかな塊が俺の…し、静まれー!俺の44マグナムが今にもぉぉぉ!
「が、ガレさん、周りの目が痛い」
「私は痛くないです」
「そんなウルトラ可愛らしい声でごにょごにょ言われましても」
「やだ可愛いなんて」
ダメだ、誰か助けて。照り焼きチキン奢るから。
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