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「なんだ藪からスティックに」
何故か口走る、あのよくわからないオッさんの名(迷)セリフ。このフレーズにシグナルヘアーの三人は頭にはてなマークを浮かべつつ首を傾げる。
「カズマさん、何故ルーなんですか」
「トゥギャザーしようぜベイベー」
「喜んで」
「マジか」
「あ、あの。とにかくありがとうございました。
我々は昨日、特待生試験を受けました。その際、あの教師達に過度な攻撃を受けました。
更には「通常の入学金の12%を追加すれば、特待生並みの待遇が得られます」と言われ、返事を保留にしてる身です。」
「は、はぁ…。
俺は恨まれこそすれど、感謝される立ち位置じゃねぇんだよなぁ。
ひとまずは俺が敵討ちしてくれたから、その感謝を述べていると。」
三人は首が千切れんばかりに首肯する。なんとなくV6気筒エンジンの片側を矢視しているような錯覚に軽く陥り始めるが、左側の体に張り付くふわりと柔らかい感触が現実に引き戻してくれた。この感触はガレさんじゃない…誰だ。
「あらっ?カズマ、あんたカツアゲでもしたの?」
みんなのアイドル、褐色肌とグンバツなスタイルのミカサさんでした。しかし、いつの間に現れたんだこの娘っこは。
ガレさんガレさん、右側にわざわざ移動して同じことすんな。理性が休暇願握りしめてにじり寄ってきたぞ、助けて。
「違う違う。
かくかくしかじかで」
「ほうほう。教師五人を一太刀で、か。
カズマ、ほんとに人間?」
なんともいえない、しいて言えば「したり顔」でニヤニヤしながら俺を見上げるミカサさん。
一瞬息が止まるかと思った。上目遣い、恐ろしい子!
「多分…その範疇には収まってるはず」
「あら、含みのある言い方ね」
「無添加100%です、はい。」
「なんだそりゃ」
シグナルヘアーの三人は俺、ガレさん、ミカサさんがわいわいしている中に入れずにウズウズしていたが、ガレさんが険しい表情を見せながら振り向き、俺の手をぎゅっと握りしめている。…なるほど、そういうことね。
「やぁカズマ君。」
「学園長…」
「ほぅ、君はダークエルフとも知り合いなのかね?」
たっぷたぷの体を程よく弾ませ、顎か首かわからない部分に手を当てながらほうほうと眺めている。
「知り合いも何も、俺を拾ってくれた恩人であり、眷属なんで。こちらのメイドも同じく眷属ですので」
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