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「け、眷属だと?エルフならまだしも、人間を眷属にしているだと?!」
「あ、こちらのメイドはダンピーラなんで」
「だ、だ、ダンピーラ??」
聞きなれないフレーズに、頭だか肉の塊だかわからない部分を傾げる学園長。
ダンピーラってのは吸血鬼と人間のハーフという意味で、本来ならダンピールだが女性なので末尾がラとなる。
純血種のヴァンパイアは討伐対象らしいので、ハーフと言っておけば問題ないだろう。
まぁ学生ならば迫害は免れないが。
「あれ?ご存知ない?」
「聞いたことのない種族だ。
だが、姿が人間に近いから相当高位の種族なのだろうな。」
どうやらダンピールという名前すら知られていないらしい。
出来ました、新種族・ダンピーラ。
いや元々あるけどね…。
「まぁ詮索はプライバシーに関わりますし、学園長がお気にされるような話でもありません。
では、改めてごきげんよう学園長」
「あぁ、ごきげんよう」
ひとまずシグナルヘアーの三人もろとも放置して逃げ出した甲斐はあったらしい。
多少強引に逃げ出し、気がつくと寮の前まで来ていた。
雑。造りがやはり雑。
これならまだ、崖に住んでた方がマシというレベル。かろうじて、アパルトマンのような佇まいが保たれているようだが俺からすればこの建物は
「「「ラ・リューシュ」」」
まさかの三人とも同じセリフとは。
ラ・リューシュとは、フランス語。意味は「蜂の巣」で、かつては芸術家が住むシェアハウスとアパートを足して割ったような佇まい。
著名な画家のマルク・シャガールが住んでいたラ・リューシュを資料で見たことはあるが、それ以上に古臭い外観。
まるで廃墟だ。
っていうかここの2人は何故そのフレーズを知っているのだろうか。そこが疑問だが、ふと近くの看板らしきものに目を移すとその謎が解けた。じっちゃんの名にかける必要はまるでなかった。
「あぁ、なるほど」
「え、カズマさんここの名前を知らないのに名前を当てたんですか?」
「エスパー的な?」
「俺からすりゃ、こんな廃墟に住めるメンタルを持った人間がエスパーだわ」
「「確かに」」
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