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寮長が俺に鍵と契約書のような紙束を手渡したかと思ったら、いつの間にか消えていた。自分でも何言ってるかよくわからねぇが…
「ほんと、カズマさん何言ってるんですか。
寮長さんはお忙しい身のようですし、部屋まで案内していただいておきながらホント何言ってるんですか」
「すんません」
「ははははははははは!ガレットのママさんモードだ!カズマ、まるで子供みたい!」
まだ子供だっつーの、と拗ねながら1人呟く。理不尽だ。
そしてこの某フランス人のネタはどうやら、何故かはびこるジャパニーズサブカルの中にはなかったらしく、ボケをマジで捉えらてしまった結果、正座させられているのだ。…無駄に凝った造りの床が妬ましいったらないわ。
「カズマさん、聞いてますか!」
「ひゃい!ガ、ガレさんは清純で、可憐で、裏表のない美人な人です!」
「わかればよろし…、って!カズマさん、私をそんな目で見てらしたのですか!
いいですか、私はあくまでメイドです」
「いやヴァンパイアだろ」
「悪魔と、副詞の「あくまで」をかけたわけじゃなくてですね……って、この話どこかで聞き覚えが」
ってことはここの世界はアニメや漫画上の歴史を取り込んでいる可能性があると。
そうなると俺は2次元の世界に飛び込めた、という認識でFA?
「イギリスを舞台にした、坊ちゃんと執事の話か?」
「そうですそうです!って、なんでそれをカズマさんがご存知なのですか?」
「ごめん、そりゃこっちのセリフ」
「??」
首を傾げ、アヒル口になる清純で可憐で裏表のない美人なメイドのガレさんのお叱りが峠を迎え、いい具合に有耶無耶になったところでミカサさんが「2人とも~」と、気だるげな声と、甘くて香ばしい香りを従えながら俺達の横に座り
「スイートポテト、焼いてみたの」
と、前かがみ気味に俺の顔を覗きこむ。
スイートポテトの奥に輝く二つのメロンもご相伴に預かりたい気持ちが僅かに沸騰し出したところで我に返る。
「うまそう」
「なんかカズマ、いやらしい顔してるね」
「いや、スイートポテトが大好物なだけだよ。いやホント」
「鼻の下伸ばしながら、ミカサの谷間に目を奪われてる人がどのツラ下げて物言ってるんですか。
私の方がミカサより3cm大きいのに」
「「嘘ぉん?!」」
ガレさん、着痩せするタイプなんだ。痩せれてないが。
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