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悲鳴かなにかわからない声をあげながら落下するドラゴンのおおよその落下地点を予測し、比較的ゆったりと回避した俺たちは地響きにも似た強烈な地を叩く音と砂埃にまみれる。
未だにギャオギャオ言うドラゴンは、なにか苦しんでいるようにも感じる。
ミカサさんもガレさんも、風属性の魔法は使えない。頼るは寮長なのだが寮長は微動だにせず、ただただ剣を地にさしたまま動かない。静観しているとも、ボーッと突っ立ってるようにもみてとれるその立ち居振る舞いだが、俺とミカサさん、ガレさんはそんな寮長の姿をしばし見つめていた。
そんな折、遠くからの濃ゆい魔力の反応。
この速さは魔法攻撃。属性は光。
聖なる属性とか言われてはいるものの、実際は派生属性の雷属性がメインとなっていて、しばしば魔法に関するお偉いさんがあぁでもないこうでもないと議論を交わすらしい。
更に言えば魔法に関しては優劣がかなりハッキリしており、光は闇の魔法に、闇の魔法は光に弱い。その効果は6属性存在するこの世界の理においても顕著であり、忌み嫌われた属性とも呼ばれる。
ちなみに火、水、風、光、闇、そして精霊魔法。
精霊魔法はハイエルフなどの高度な知能を持つ種族のみが扱える魔法属性で、主に自然と共生する種族が自然に対して扱う魔法。攻撃魔法も存在するが、あくまでも自衛手段であり普段は使わないらしい。
…ハデスめ、また勝手に俺の脳内のライブラリ増やしやがって。
まぁそこは良いとして、迫り来る光の魔法攻撃に対し俺は
「ピンホールショット」
闇属性魔法で相殺せんとホップステップと走りながら跳ね、体を斜めにしながら回転。その加速で生まれた遠心力を活かし、左腕を振りかぶりながら魔法を放つ。
このモーション自体、オリジナル。
理由?かっこよさそうだから。
ピンホールショットが放たれ、光の魔法よりも速く魔法が移動し、少し離れた場所で光魔法と相殺したらしく、紙鉄砲のような軽い破裂音を伴い、反応が消えた。
「あのモーションに意味はあったのでしょうか。本来、ピンホールショットはコインや石ころを放つためのものですよね。その為魔力はあまり使わない…。
まさかとは思いますがカズマさん」
「うん。魔力の塊をコインや石ころに見たて、左手そのものにピンホールショットを纏ってぶっ放したよ」
あぁ、と顔に手を当て呆れた様子を見せるガレさん。何故だ。
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