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「あらら」
光魔法、第2波襲来。一発目がブラフだったのか二発目が来るタイミングが速い。
だが対応出来ないわけではない。と、言うかガレさんが既に対応していた。
「カズマさん、遠距離からの魔法の場合はブラフの可能性があるということも頭に入れましょうね。」
ガレさんが羽ペンを走らせ、ほほいっと声を出しながら闇属性魔法を放つ。
羽ペンで魔法を描くので、詠唱が必要ないため魔法名で対策を取られる心配がない。
デメリットよりもメリットが勝る魔法の発動媒体だな、と感心しつつ尻拭いをさせてしまった自責の念を込めながらゴメン、と頭を下げておいた。
ガレさんはこれを見て、うふふと微笑み返す。
「…魔法が相殺されましたね。
ついでに言えば、発動した本人がやって来ます。」
「あらら」
「それ以外に言うことはありませんか?」
「ゴメン、そしてありがとう」
「よろしい」
なでなで、と頭を撫でられた。理不尽だ。
戦闘中とは思えない、のほほんとした雰囲気が漂い始めると、目の前でぐったりしていたドラゴンが鎌首をもたげながらこちらを見る。
『人間…、ヴァンパイア、エルフ…そしてまさか四君子の一柱がいるとはな。
久しいの、白虎』
「青龍、やはり貴様か。」
四君子ってなによ、四君子って。
白虎と青龍って言う位だから、方位を司る君子ってことなのだろうけど、青龍って言っておきながら黒いぜ?このドラゴン。
それに禍々しさ100%濃縮還元って位、トゲトゲしいフォルムもしてるからさ。
…そういや災厄の象徴ってだいたい黒いんだったな。災厄の象徴こと、もっちりーに君も真っ黒だし。
しかしハデスのネーミングセンスには心底呆れる。もっちりーにって何だよもっちりーにって。
つーか
「寮長、あんた人間じゃないの?」
「今更か。しかし白虎というのはあくまでも称号に過ぎぬ。
過去に元四君子の白虎を面白半分で殺してしまったからな。その贖罪も兼ねてつとめておるのだ。」
「どんだけ強いの寮長」
『しかし、不覚を取ってあのようなガキに半殺しにされるとは思わなかった。』
途切れ途切れ、まるでチューニングの安定しないラジオのような声で話すドラゴンだが口は動いていない。念で話しているのか。…俺も出来るかな?
「(やーい、おまえんチ、おっばけやーしき)」
『ん?なんだ、そこの人間』
お、通じたみたい。
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