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「てめー!特待生だからって、お高くとまってんじゃねぇぞ!
決闘だ!決闘を申し込む!」
法律第34号「決闘罪ニ関スル件」によって、日本では罰せられる決闘だがどうやらこの世界では呼吸レベルで行われている模様。朝からあった胸騒ぎはこれか。
「まだ入学式も始まってすらいねぇんだから後にしろ」
「じゃあ入学式が終わったら闘技場に来い!逃げんなよ!来なかったら100万回噛み付いてやる!」
指をビシっと俺に差し、そこから数歩後ずさりながら走り去って行った。…なんだアイツ。
「なんか、2画面ゲーム初期の超有名ゲームのライバルみたいなキャラですね」
「ガレさんなんでそんなサブカルに詳しいの」
「なんででしょうね?」
「うわぁ…」
ガレさんが何故サブカルに詳しいかはさておいて、この世界の人間の沸点低すぎじゃないか。今日日マッチ棒ですら、もうちょっと発火点高いぞ。
と適当なことを考え、学園に向かった。
~ヘヴェレスト魔法学園~
小高い山の上に聳える、ユニコーンの角のような塔。高さは200m程だが、周囲に高い建物がない為その存在感は強い。
だが塔はてっぺんが砕け散ったような形状で、元々は400m以上あったのではないかと思われる。故に「朽ちた塔」あるいは「朽ちた城」と言われているのだろう。
城とは名ばかりに、その朽ちた城は細い。
他にある鋼の城、王城はまるでこの国に住む王族を思わせるような出で立ち。
朽ちた城とは対照的に王城は低く広い。朽ちた城自体が長すぎるせい、と言えば聞こえはいいが王城自体も80m~90mはあるはずだ。この世界の建築基準から考えてみても高さは一目瞭然。
いかに国王としての権力を誇示していたいかが目に見えてわかる。
今にも崩れそうな、朽ちた城の城下に位置するヘヴェレスト魔法学園。
敷地の総面積で言えばドーム二つ分や三つ分程。
その敷地内に校舎が五つ。
図書棟、実験棟、一般学生棟、教職棟、そして俺の向かう特待生棟。
この五つはそれぞれ朽ちた城を囲うように建てられてはいるが、棟と棟同士を繋ぐ連絡通路らしきものも見当たらない。
魔法陣…あるよね?
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